「天才は自分の努力と才覚でのしあがっていく」というのが従来の考え方だった。この本は天才が生まれる外的要因に焦点を当てている。
IQの高さよりも、戦争に運命を翻弄されないことが成功の道だと作者は考える。時代背景、受けた教育、経験、社会や共同体の働きかけが成功の要因だ。才能にあふれていても、家庭環境や社会制度の不備に引きずられて奈落の底に落ちてしまうことは多い。
◎カナダのアイスホッケーの代表は、1月で区分されるので早く生まれた子が活躍する。最初は体格で差がつき、代表育成チームに選抜されて差が拡大していく。
◎天才になるためには、一万時間の訓練が受けられる環境にいられることが大切。ビル・ゲイツはレイクサイド校に入学したため、1968年時点でタイムシェアリングのコンピュータに触る機会が出来た。生徒の親が週末にソフトウエアのコードをチェックする人間を探していた。ISI社と知り合い給与開発プログラムを開発する人の募集に出会った。その他の幸運で10000時間の訓練が出来た。
◎1955年前後の生まれにコンピュータ業界の天才が集中。ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、エリック・シュミットなど。早すぎてもいけないし、遅すぎると仕事はなくなっていた。
◎ビートルズはハンブルグで1日五時間以上の演奏をし続けた。そして、技量を身につけていった。
◎ユダヤ人はヨーロッパで土地所有が許されず、服飾などの手仕事を身につけていた。1900年位には、アメリカへ移民すると、出世への手がかりとなった。一方、メキシコ系の移民は農業の手伝いをしたが、出世への道は閉ざされていた。
◎WASPの弁護士はウォール街で毛並みのよい仕事をした。ユダヤ人の弁護士たちは敵対的買収など非紳士的とされた仕事をやるしかなかった。時代が変わると敵対的買収だらけにアメリカがなり、ユダヤ人の弁護士の影響力が増した。
◎文化的遺産 水田は勤勉さが必要。すると、数学がアジア系の民族が優秀な成績をあげる。韓国の飛行機事故は17倍あった。これは上司に意見が言えない文化が招いた。
◎自主性、複雑さ、努力に見合う報酬が得られるチャンスを得た人々が幸運をつかむ。
「すべての人々に好機を与えろ」